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    ヘリウムという不思議な元素

    2014.06.13 Friday

    つくづく思うのですが、ヘリウムというのは不思議な元素です。
    まず風船に入れたら風船が浮く。これだけで子どもたちは大喜びです。
    まだやったことがないですが、ぽちゃ美女や振袖女子にヘリウム入れて浮いたら感動します。(どっちも計算上は浮くはず)
    風船がヘリウムで浮くのは比重の重い空気が落下して風船が押し上げられることによります。

    もう一つ、声が変わるというのも不思議です。
    子供の頃はまだヘリウムが安かったので、友達の間でよく流行りました。
    これは音速が空気よりも速いためで、その理由は粘度が低いことによります。

    以上はよく知られている性質と用途です。

    ・・・

    さて、ヘリウムのもう一つ重要な性質としてどの物質とも反応しないことが挙げられます。
    反応性が低いのは元素の周期表の右側に位置する希ガスというグループに共通した性質ですが、キセノンを酸化するフッ素でもヘリウムを酸化することはできません。
    ヘリウムは原子核のすぐ近くに閉殻の電子があるため第一イオン化エネルギーが2372kJ/molもあり、それを酸化できる酸化剤は存在しないのです。

    安定しているからこそ風船や変声に使えるわけで、水素との最大の違いはそこです。
    尚、殻構造の類似した水素は電子が1個しかなく、一般にはそれを捨てることで安定しようとします。

    ・・・

    ヘリウムの沸点はあらゆる元素の中で最も低い4K(ケルビン)で、それをさらに冷却して2.17Kに達すると粘度がゼロになることが1938年に発見されました。
    これを超流動といい、壁をよじ登ってこぼれたり原子一個分の隙間から漏れ出すという奇妙な現象が起きます。

    この理由を説明するのはちょっと難しいのですが、ヘリウム原子がボース粒子という電磁波と同じタイプの粒子であることによります。
    常温ではボース粒子としての性質が現れませんが、極低温では基底状態に収束するため電磁波のように同じ場所に複数存在できるようになるのです。

    ・・・

    ところで、ヘリウムという元素はどこでどうやって生まれたのでしょうか。
    それを知るには宇宙の歴史を紐解く必要があります。

    宇宙の始まりはインフレーションに続くビッグバンで、その時にエネルギーからクオークや電子が生まれて、それが物質の元になりました。
    最初に作られた物質は大部分が水素で、ヘリウムも少しだけできました。

    現在の宇宙にはもっとたくさんのヘリウムがありますが、それは星の中心で作られています。
    太陽の中心でも、毎秒6億トンの水素がヘリウムに転換しています。

    これが宇宙に存在する大部分のヘリウムのルーツですが、地球で資源として掘り出されるヘリウムは生まれが異なります。

    太陽よりもずっと重い星が死ぬ時に大爆発を起こし、ウランやトリウムなどの重い元素を作ります。
    資源としてのウランも星の爆発の名残で、原子力の利用は星が爆発した時のエネルギーを間接利用していると言えます。
    これらの重い元素は長い年月をかけて鉛まで崩壊しますが、その過程で出たアルファ線が電子を捕獲するとヘリウムになります。

    ・・・

    風船に使われるヘリウムはとても奥の深いおもしろい元素です。
    もう一つおもしろいのは宇宙には炭素や酸素よりもたくさんあるのに地球にはちょっとしかないということです。
    この理由はぜひご自分で考えてみてください。

    ディズニーランドとヘリウムの未来

    2014.01.09 Thursday

    ディズニーランドでは長い間風船の販売が中止になっていましたが、今日ようやく再開されたようです。

    東京ディズニーリゾートでバルーンの販売再開 価格は引き上げ

    ただし価格は以前よりも高くなってしまいました。
    ヘリウムが不足した理由は表向きはアメリカの生産設備が不調だったということになってますが、再開しても価格が高いのはこれじゃ説明がつきません。
    おそらくアメリカの備蓄がこのままだと来年に底をつくことと無関係ではないでしょう。

    ヘリウム資源は需要の3/4をアメリカが、1/4を中東が供給するという著しい偏在があります。
    これはヘリウムの混ざった天然ガスが一部のガス田からしか出てこないという事情によります。

    このままだと備蓄が底をつく2015年あたりを境にヘリウムの暴騰が始まるでしょう。
    市場は気が速いので、今年中には買い占めで風船一個が何千円というレベルに高騰するかもしれません。
    ディズニーの風船が再び中止になるのも時間の問題です。そうなったらもう二度と復活しないでしょう。
    当店としては浮く風船がなくなるのはとても残念は話です。

    しかしこの現実を黙って受け入れようとは思いません。
    核反応、大気からの分離、マントル採掘など、ヘリウムを取る方法は他にもあり、これらは将来的にはかなり安くできるようになるかもしれません。

    また、周期表に目を向けるとヘリウムの下には同じ希ガスのネオンがあり、これはヘリウムよりも安く大気から分離することが可能です。

    飛行船を爆発させた前科のある水素でさえ、防燃性ガスと混ぜることによって不燃化できる可能性があります。
    添加物によるマグネシウムの不燃化には既に成功しているので、水素が不燃化できないとは限りません。

    人類の叡智を以ってして素晴らしき浮く風船の文化を守ろうではありませんか。

    風船の体積の求め方

    2013.12.11 Wednesday

    ヘリウムをどのくらい入れたらいいかという質問が時々寄せられます。
    その場合は他の容量が書かれてるショッピングサイトを見て同じような大きさ形の風船から類推して答えています。
    しかしながら、某大手風船専門店で明記されているヘリウム容量はあまりあてになりません。

    そこでヘリウムの容量を計算によって求める方法がないものか考えてみます。

    一番いい方法はまず膨らましていない状態の風船の重量を測定し、次にヘリウムを入れてみて浮力を測定し、実測値に膨らましてない質量を足してからヘリウム1Lあたりの浮力(1.1072g/L at 1atm, 273K)で除算することです。
    この方法はきわめて正確な数値が得られる半面、測定にヘリウムが必要になります。

    逆に重い気体を使うと安価かつ正確に求められます。
    リーズナブルなのはCO2です。

    膨らまさずに求めるには積分法を使う必要があります。
    これは風船の形状を関数化する必要があるのでとても難しいですが、断面の形状を楕円形に近似して積分するだけでかなり良い近似が得られそうです。
    ただし単純な形状に限られるでしょう。

    正確なのはやはり実測してみることでしょうから、時間のあるときにCO2で測定してみたいと思います。
    こう見えても一応分析が専門なので。

    流行は時に常識を超える

    2013.12.02 Monday

    世の中は常に流動的で、音楽も、芸術も、ファッションも、さらには言語さえ時代時代に応じた流行があります。
    時にルネッサンスといってかつての流行が盛り返すこともありますが、全く同じ形で流行が起こることは二度とありません。
    難しい言い方をすると、流行の移り変わりは宇宙のエントロピー増大という大法則に付随した不可逆的過程のひとつと言えます。

    急激な流行は時に常識を逸脱して年配の方々の非難に晒されることがあります。
    しかし数十年経つとそれが今度は常識として固定されるということも往々にしてあるのです。
    ネットの普及はこれを更に加速させ、たった数年で常識を塗り替えることを可能にしました。

    常識にとらわれていると生きた化石になってしまいます。
    豊充は「空ビ以外の風船の上に乗ってはいけない」という常識を打ち破るべく、耐荷重性とヘリウムで浮くことの両方を兼ね備えた風船の開発に着手しています。

    ヘリウム不足時代、風船業界に求められるパラダイムシフト

    2013.11.07 Thursday

    近年のヘリウム不足はとても深刻で、東京ディズニーランドには浮く風船が無く寂しいままです。
    これは地球のヘリウム資源の底が見えてきたことを意味します。

    当店では今のところヘリウムガスを扱っていませんが、お客様の方で用意されている場合も多いようなのでやはりヘリウム不足は風船の売れ行きに直結する大問題です。
    今のところ当店独自のサービスとして空気で膨らませれるようにストローを付属させていますが、やっぱり風船は浮いている方が夢があります。

    これは「夢」と「現実」の対立の一つの形かもしれません。
    私が子供の頃はスーパーで浮くゴム風船が無料で配布されているのは当たり前で、セーラームーンとかのフィルム風船もたまに見かけました。

    これからは風船は浮くものではなく上から吊るすものになってくると考えられます。
    もしかするとヘリウムの代用となるガスが出てきたり、ヘリウムと他のガスの混合で価格高騰を相殺する方向に適応していくかもしれません。

    確かなことは今の価格でヘリウムが手に入らなくなることは確実で、風船業界がパラダイムを転換して適応していかなければならないということです。

    余談ですが、先日オクに出品した巨大なオリジナル風船はヘリウム不足時代に向けての私自身の力試しでもあります。
    これからはヘリウムに窒素を混ぜてケチケチ使ったりネオンなど重い代替ガスを使うことで浮力が落ちることは容易に想像でき、それに対応するためには風船を薄くするか大きくするのが効果的です。

    大きくすればガスの消費が増えるので意味がないではないか、という意見もありそうですが、薄くすれば弱くなるので大きくするほうが技術的なハードルが低いのです。
    また、薄くすればガスが透過しやすくなりますが、大きくすれば体積の割に表面積を小さくできるので漏洩を遅らせることができます。

    大きい風船は浮かせる以外の空ビに近い用途が考えられるので今のところ分厚くしていますが、将来は薄くて大きい風船を開発したり他に先駆けて仕入れるかもしれません。

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