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ヘリウムが地球と生命を生んだ(2)

2014.06.22 Sunday

前回は水素とヘリウムから鉄までの主要な元素が作られる過程を述べました。
水素からヘリウムができる反応はビッグバンの時に少しだけ起こりましたが、ヘリウムよりも重い元素は星の中でしか作れません。

元素存在度の鉄に至るまでのギザギザはヘリウムを足がかりに作られていくことで説明できます。
また、リチウムとベリリウムとホウ素が極端に少ない理由はヘリウムから一気に炭素まで飛んでしまうことで説明がつきます。

前回説明を忘れていましたが、質量数や原子番号が奇数の元素のいくつかは副反応により作られます。

・・・

さて、今回は鉄よりも重い元素がどのようにして作られたかを説明します。
鉄56はヘリウム原子14個から作られるアルファ元素で、核はとても安定していてバラバラの陽子26個と中性子30個を合わせた質量よりも軽くなっています。
ところで勘違いしている人が多いですが、核物理学的に最も安定した各種はニッケル62で、鉄56が最も安定しているわけではありません。
ニッケル62は主反応では作られないので安定している割には少ないのです。

・・・



この画像は死が迫った重い星の内部構造です。
どのくらい死が差し迫っているかというと、余命数秒と考えてください。

これまで作ってきた元素が重い方から順に折り重なって玉ねぎのような多重構造を成しています。
鉄ができるまでの間は核融合のエネルギーで重力に対抗できましたが、鉄は核融合でエネルギーを生み出すことができません。
むしろエネルギーを吸い込んでしまうため中心核が重力で潰れ始めます。

この時に鉄がガンマ線を吸収して中性子とヘリウムに分解します。

56Fe + γ → 134He + 4n

この反応で発生した中性子が鉄の原子核に次々に打ち込まれることで金、銀、ウランなどの重い元素が作られました。
鉄以降の元素でも偶数優位が続いているのは偶数のほうが安定していること、鉄の光分解で発生したヘリウムが鉄を出発点とした吸熱的なアルファ反応の材料になっていることが考えられます。

いずれも吸熱反応であるため核はどんどん潰れていって中性子の塊になります。
星を形成する物質が一気に中心核に向かって落下するため、この反動で星全体が吹き飛ぶような大爆発(超新星爆発)を起こします。



爆発を起こした後には中性子の核が残る場合が多く、これを中性子星といいます。
しかし元の星の質量が太陽の30倍より大きければ中性子星も潰れてしまい、後にはブラックホールが残ります。

・・・



平安時代の西暦1054年、おうし座に突如明るい星が現れました。
この記録は藤原定家の日記「明月記」にも記されています。
明るい星の正体は超新星爆発で、現在のかに星雲はその時の残骸です。

超新星爆発は宇宙にとってはおなじみの現象ですが、ただ肉眼で見える距離での爆発は歴史に残るぐらい稀にしか起きません。
次はベテルギウスが怪しいと言われており、かに星雲よりもずっと近いので満月よりも明るくなると言われてます。
ただ、近いと言っても640光年も離れているので我々が生きているうちに爆発を観測するには600年以上前に爆発している必要があります。

・・・

超新星爆発は自分には関係ない遠い世界の話だと思いがちですが、太陽系が出来る前に現在の太陽系の位置で超新星爆発が起こったのは紛れもない事実なのです。
銀河の片隅に太陽の数十倍の重い星があり、それが寿命を迎えて爆発した残骸から地球や太陽が作られました。
我々の体を作る炭素や窒素も恒星の中でヘリウムから作られて超新星でバラ撒かれたものです。

金や銀のアクセサリーも、死にかけの星で鉄に中性子やヘリウム原子核が打ち込まれなければ地球上に存在しなかったでしょう。

そういう意味ではヘリウムは水素以外の全ての元素を生み出したとも言えるのです。
全ての重元素は星とヘリウムからの贈り物なのです。

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