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PCR検査と偽陽性について

2020.03.13 Friday

コロナウイルスが世間を騒がせてから早2ヶ月になりますが、最近にわかに「PCR検査」という言葉をよく聞くようになりました。
当ブログでも前回の記事でコロナかどうか確認するにはPCRという技術が必要で、これは手間とコストがかかるため希望者全員に行うのは難しいと述べてます。

そんな矢先、思いつきでとんでもないことを言いがちな孫正義が今度はこんなことを言い出しました。



大学生の頃の私なら彼の行動を絶賛したでしょう。
3.11直後に「これからは太陽エネルギーの時代だ、財団を作って政治に働きかけるぞ!」と息巻いてたのをマンセーしながら応援してた記憶があります。
しかし現実には市場が歪んで電気代が高くなり、ソーラーパネルによる環境破壊が起こりました。

今回の孫正義のこの言動を実行に移したとすればイタリアのように医療が根底から崩壊しかねません。

・・・

そもそもPCR検査とはどのような検査なのでしょうか。なぜコロナの検査にそれが必要なのでしょうか?

まずウイルスがどういうものかを説明しなければなりません。
ウイルスはなぜ宿主を攻撃するのかで詳しく説明してますが、ここではコロナウイルスに焦点を当てて解説することにします。

まず最初にウイルスは生物ではありません。
コロナが病原性大腸菌O-157のようなものだと誤解されてるきらいがありますが、O-157のような細菌と違って生きてすらいないのです。


(出典:NIID 国立感染症研究所)

コロナウイルスは球体の形をしていて、タンパク質でできた殻の中にはウイルスの設計図であるRNAが入っていて外側には突起がついてます。
この突起が太陽のコロナとよく似ているためコロナウイルスと名付けられました。

ウイルスはDNAやRNAのいずれかをタンパク質で包んだ粒子のようなものですから、自分の力で増殖することができません。
これはパソコンのウイルスがパソコンなしで増殖できないのと全く同じことです。

そこでどうするかというと、生物の細胞に寄生して細胞内の道具を無断借用して増殖します。
コロナウイルスは表面の突起で標的となる細胞に付着します。
そして中の設計図であるRNAを細胞に注入し、細胞は自分のRNAと外から来たRNAを区別できませんのでウイルスの部品となるタンパク質を作ったりウイルスの設計図をコピーしてしまいます。
そして細胞の中で部品同士が結合してウイルスになり、やがて外に出てきます。
これで細胞が死んだり、ウイルスがわざと有毒なタンパク質を作らせたりすることによって症状が出るのです。

ところで、ウイルスの持つRNAやRNAから作られたDNAを検出するにはそれをたくさん集めなければなりません。
検査対象者から取れるウイルスはごく僅かなのでそれを増やす必要がありますが、前述の通りウイルスは生物ではないためそれ自体を培養して増やすことができません。

そこでどうするかと言うと、わずかに採取したDNAを増やすのです。この技術がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)です。

生物やウイルスは自身のDNAやRNAを「ポリメラーゼ」というタンパク質を使って増やします。
ポリメラーゼにはDNAを複製するDNAポリメラーゼ、DNAからRNAを転写するRNAポリメラーゼ、そしてRNAからDNAに逆転写する逆転写酵素があります。
このあたりの話は悪人の更生は可能なのかで詳しく解説してます。

余談ですが、平時は猫をかぶってそれと気付かれないように生活してる人間のクズがコロナウイルスの感染やそれに付随するパニックや失業などをきっかけにかぶってる猫が取れて本性を出すようなことは実際に起こってます。
マスク争いや品薄に乗じた高額転売、「ウイルスばら撒いてやる」がそうです。
非常事態は治安が心配な一方、平時には見えてこない本性を見抜いて周りの人間関係を整理するいい機会でもあります。
このご時世だからこそ悪人の更生は可能なのかを一読しておくことをおすすめします。

少し話がそれましたが、PCRは生物が行っているDNAのコピーを人工的に速く行うための技術です。


(出典:日本RNA学会 - <走馬灯の逆廻しエッセイ> 第9話 「数兆円の経済効果ーーPCRの発見」)

まず増やしたいDNAを用意します。コロナウイルスにDNAは含まれてませんが、増殖する時に一旦RNAからDNAを逆転写するのでウイルスに感染した細胞からはRNAから逆転写されたDNAが取れます。
そこにTaqポリメラーゼという高温でも失活しない特殊なDNAポリメラーゼと、DNAの材料となるヌクレオチドという物質、プライマーという複製を開始させるための短いDNAを加えます。

DNAは常温では二本鎖ですが、90℃以上になると熱でほぐれて一本鎖になります。
一本鎖になった状態で60℃まで冷やすとプライマーがDNAに結合します。これをアニーリングといいます。
次に再び70℃ぐらいに加熱するとTaqポリメラーゼがプライマーを起点としてDNAを合成し、2つの二本鎖DNAができます。
あとはこれを繰り返していけば倍々に増えていくのです。

これがPCRの基本的な原理で、これを発見したアメリカの生化学者、キャリー・マリスは1993年にノーベル化学賞を受賞しています。
今日ではPCRは病気の検査の他、生態系の調査から犯罪捜査に至るまで様々な分野で利用されています。

・・・

さて、コロナウイルスをPCRで検査しようと思えばDNAを採取する必要がありますが、この時にどうしてもウイルス以外のDNAが混ざったり外部から関係ないDNAが混ざったりということが起こってきます。
PCRで増やす時に変異が起こることもありますし、コロナウイルスはCOVID-19だけでなく普通の風邪の原因となる仲間もいます。
そのためPCR検査で陽性が出たからと言ってコロナウイルス(COVID-19)に感染してるとは限らないのです。この状態を偽陽性といいます。

ましてや孫正義が配布できるような簡易的なキットで専門知識のない素人がDNAを取るとなればますます精度は落ちるはずです。
偽陽性が出た人の行動パターンは大体決まってて病院に駆け込むでしょう。
しかもほとんどが偽陽性でほぼ意味のない検査になるだろうということがこちらの記事で述べられています。

拝啓、コロナ脳の皆さま。孫正義さんの100万キット配布は医療崩壊するを簡単に説明するね - More Access! More Fun

別にPCRや検査キットが悪いわけではなく、うまく使えばここぞという時に役立ちます。
ところが国民はバカですのでむやみに配布するとパニックを助長して感染の拡大を煽るだけでなく医療の崩壊さえ招きます。実に残念なことです。

国民がバカというより学校がちゃんとした生物学を教えてない、というかそれ以前に教えられる人がいないのです。
しかも学校で教わる生物知識はだいぶウソが混ざってます。

・・・

そういえば香川県でゲーム規制条例が可決されそうな感じですが、因果関係の立証も科学的議論も全くされなかったという実に嘆かわしい状況です。
香川県といえば荒野行動おねショタという香ばしいことが去年ありましたが、それも無関係ではないでしょう。
私はおねショタに関しては擁護してる側であり、むしろ晩婚化のご時世に人間の世代時間を短くしていくことは人類がウイルスの進化に対抗する上で有効なことだと考えています。

コロナウイルスは人間がバカだとわかればそれにつけ込むでしょう。
こういう言い方をすればまるで生物ですらないウイルスが意思を持ってるような感じがしますが、実際に起ってることはウイルスが感染して仲間を増やす度に変異を起こして少しずつ変わっていき、それが人間の行動パターンにうまくハマった時に生き残り、そうでなければ淘汰されていくというプロセスです。

ウイルスに対抗する上で必要なことはいたずらにマスクやトイレットペーパーを買い漁ったりパニックになって病院に駆け込むことではなく、敵のことを少しでも知ろうとすることではないでしょうか。
私は自分の敵となる存在が現れた時、それが個人だろうが組織だろうがウイルスだろうが徹底的にその実体やルーツ、存在意義を知ろうとします。
そのような態度がコロナウイルスに対しても必要なのではないかと思いました。

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