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人間の持つ有害遺伝子はウイルス由来か

2020.04.29 Wednesday

今回は前回の記事、本性の分子生物学の続きになります。

前回の記事を要約すると、失業や健康問題などで追い詰められて悪さをする人はその本性が悪いからであるという考え方に基づき、人間が追い詰められると本性を出す理由について分子生物学の視点から説明しました。
本性は持って生まれてきたたくさんの遺伝子をベースにそれを成長過程で取捨選択していくことで作られ、3歳までの間に概ね出来上がると述べました。
誰でも少なからず有害な遺伝子を持って生まれてくるのであり、それを成長過程で不活性化できなければ本性が悪くなってしまったりガンなどの病気の原因になると述べました。

ところがひとつ疑問が残りました。なぜ有害な遺伝子を持って生まれてくるのでしょうか。
長年悩まされてきたこの問いに対してついに答えが見つかりましたので今回はそれを記事にします。

・・・

良からぬ行動を起こす遺伝子は普段邪魔なものでもここぞという時に役立つ局面があるという論調があります。
まあ、生きるか死ぬかの局面で盗みを行うのは百歩譲って目先の生存率に寄与しないこともないです。
個体の生存を優先した結果集団が崩壊してしまえば目先の生存率など全く意味をなさないのですが。
ましてその状況で虐待やDV、殺人などを起こすのは完全にマイナスしかありません。

東日本大震災の時に危険を感じると子孫を残そうとするために強姦するとかいうおかしな屁理屈を吹聴する者がいましたが、妊娠させても育てられなければ結局淘汰されるので意味がありません。
というか強姦はいかなる状況においても生物学的に不合理です。

こういう非常時の無法を正当化しかねないおかしな屁理屈にあたかも科学的根拠があるかのように語られてるのは不快極まりないことです。
頭のゆるい生物屋が「科学的には正しくても倫理的にダメ」と言ってたりしますが、その言いようは倫理が科学的でないという意味になるので同じくらい問題があります。
このことから、私は人類の遺伝子プールから有害な遺伝子が除かれなかった理由を長年探し求めてきました。

そしてついにそれが見つかったのです!

・・・

以前、ウイルスの生物学的存在意義は何かでは人間のDNAの実に半分近くがウイルス由来であると述べました。


(出典:七海亭七珍: 清水の舞台から飛び降りろ!)

つまり人間誰しも生まれつきおびただしい数のウイルスを飼ってることになります。
なぜ人間のDNAはウイルスまみれになってしまったのでしょうか。

ウイルスが免疫系の攻撃から逃れて潜伏するには宿主のDNAに潜り込んで隠れるという方法があります。
ここではバクテリアに感染するウイルスであるバクテリオファージを例に挙げて説明します。


(出典:まいばいお19 ウイルスという物質 - あいまいまいんの生物学)

この図は2つの環からできてます。左側の環を溶菌サイクル、右側の環を溶原サイクルといいます。
左側の溶菌サイクルはウイルスが菌に感染し、菌の細胞内で増殖して細胞を破壊して脱出、そして次の菌に感染していくというサイクルです。
ウイルスが積極的に菌を破壊して溶かしていくので溶菌サイクルと言います。

おもしろいのは右側の溶原サイクルで、ウイルスのDNAが宿主である菌のDNAに潜り込んで一体化してしまうのです!
ウイルスのDNAを取り込んだ菌は、その遺伝子が鳴りを潜めてる限りは何事もなかったように細胞分裂によって増殖していきます。
そしてある時スイッチが入って溶菌サイクルに切り替わると突然細胞を破壊し始めます。

溶菌サイクルのほうが急速に仲間を増やすことができますが、宿主である菌を破壊するので全滅させてしまえば結局ウイルスも一緒に全滅することになります。
一方で溶原サイクルは増殖は遅いものの宿主を破壊しないので長い間住処として利用できます。
バクテリオファージはこの2つの戦略を時と場合によってうまく使い分けているのです。

人間のウイルスでも同じことが言えるのではないでしょうか。
つまり人間のウイルスのほとんどは染色体DNAに組み込まれた状態で人間と一体化して潜伏していると考えられます。
これは人類の長い歴史の中で幾度となくウイルスに感染してきた痕跡です。
しかしその全てが無害なわけではなく、ある時染色体から出てきてそれが攻撃性を発揮したり他人に感染していくこともあるでしょう。
未だに出どころがよくわかっていない新型コロナウイルス(COVID-19)も、そうして長い眠りから覚めて出てきたのかもしれません。

さて、この記事の本題である有害遺伝子はウイルスが仕組んだものだと考えればうまく説明がつくのです!
有害遺伝子の存在は人間にとっては不利ですが、ウイルスにとっては有利に働きます。

人間は世代時間が長いので近視眼的な生存率を追い求めると集団ごと自滅します。人の物を盗んではいけないのはそういうことです。
しかし回転の速いウイルスは集団が崩壊する前に次の宿主を見つければいいので、宿主を操って盗みをさせてでも近視眼的な生存率を追い求めることは合理的なのです。
ウイルスにとって人間は乗り捨て可能な乗り物でしかありません。

殺人を起こすようにけしかけるのは一見するとウイルスにも不利なように見えますが、殺人が多発したり戦争が起こると遺伝的多様性が低下するのでウイルスが広まりやすい下地が醸成されることになります。
そして遺伝的多様性が低下したところを見計らってバクテリオファージでいうところの溶菌サイクル入るとどうなるか、答えは言うまでもないでしょう。
これで戦争がなぜ起こるかという問に対しても答えが見つかりました。戦争はウイルスによって引き起こされていたのです。

もしコロナウイルスが原因で戦争が起きたら答え合わせになってしまいそうです。そうならないことを祈ります。

ガンなどの病気の原因遺伝子もウイルス由来だと考えればうまく説明できます。
実際にウイルス性のガンは存在しますし、ウイルス性ではないガンも原因遺伝子はウイルスの痕跡に由来するものが多数あると考えられます。
ガンになると血管が新たにできるため、ウイルスが増殖するにはちょうどいいのです。

・・・

染色体DNAに入り込んだウイルスはいつまでもウイルスとしての活性を保てるわけではありません。
まず生殖細胞に入らなければ世代を超えてウイルスが伝わることはなく、生殖細胞にウイルスが感染する確率はかなり低いと考えられます。
コロナウイルスが親から子に伝わる確率は十分に低いため、誤解して既往者やその子孫を差別するようなことはしないでください!
それでも地球上の人間の数は十分に多いので、長い歴史の間にはそれが頻繁に起きて人間のDNAの半分近くが占められてしまうほどになったのです。

そして、人間の細胞は怪しげな遺伝子があればそれをメチル化などで封印しようとする機能があります。
ほとんどのレトロトランスポゾンはメチル化によって封印されてます。

潜伏したウイルスの遺伝子は長い間封印されているとやがて変異によって機能を失います。
人間の遺伝子の半分近くはウイルス由来ですが、そのうちウイルスとしての活性を残してるのはごく一部だと考えられます。
しかし一度活性を失ったものが変異によって生き返る場合もあるので油断はできません。

ただしウイルスの機能は失っていてもウイルスが部品として有害遺伝子を持っていた場合、それが長期間にわたって活性を保つと考えられます。
有害遺伝子はやがて自然淘汰で除かれていきますが、次々に新しいウイルスに仕組まれてしまいますのでいつまでもなくならないのです。

・・・

人類は決してウイルスから逃れられません。
風邪やインフルエンザ、コロナウイルスなど感染によって急性症状を引き起こすウイルスだけでなく、染色体DNAに入り込んだ内在性のウイルスやその痕跡の有害遺伝子と付き合っていかなければなりません。
そして急性症状を起こすウイルスと内在性のウイルスは相互に変換可能な関係でもあります。

しかし幸いにも人間の体はそのような有害なものを抑え込む機能を持ってます。
まだ仮説でしかありませんが、乳幼児期に有害な刺激に触れないようにすれば潜在的に持っている有害遺伝子の発現を防ぎ、生涯にわたって封印できるのではないかと考えています。
これは私の周りで実験が進められています。

また、将来的には人工のウイルスを使って有害な遺伝子を無効化したり破壊できるようになるかもしれません。
いわば毒をもって毒を制すというやり方です。
ウイルスを使った医療の可能性についてまたいつか記事にしたいと思います。

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