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サイズの生物学の話

2020.09.04 Friday

9月になりました。
先日ようやく涼しくなったかと思いきや、今日の東京はなかなかの猛暑日でした。
新潟では40度を超える猛暑日が続いてるようですので熱中症にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。

本日高松市内で幼い姉妹が熱中症の犠牲となりました。
子どもの熱中症リスクは大人よりずっと高いです。
未だにエアコンのついてない学校があるというのは信じられない話で、エアコンがないことを理由に夏場は自主休講してもいいぐらいです。
これは後述しますが勉強を教える立場であるはずの教職員や教育委員会が中学レベルの数学もできてないという話になります。

子どもの熱中症リスクが高い理由はサイズの生物学で説明することができます。
昨日あるネット配信でサイズの生物学が話題に上りましたので、今回はサイズの生物学について解説することにします。

・・・

地球上には直径1μmの古細菌から都市ぐらいあるキノコまで、多種多様なサイズの生物がいます。
動物だけに限って考えても動物プランクトンからクジラまで、そのサイズは様々です。

サイズは生物にとって大変重要なパラメーターです。
サイズが違えば食事量、縄張りの広さ、動きやすさも違ってくるためそれは生存戦略の違いとして現れてきます。
また、サイズが大きいほど体内時計の振り子は遅くなるので時間があっという間に過ぎるように感じます。

子どもの頃は1年がとても長く感じなかったでしょうか。
それは体が小さいために体内時計の振り子が速く、同じ1年でも振り子をたくさん刻むことができたためです。

体内時計の振り子の速度を決めてるのは何かというと諸説ありますが、心臓の動く速度や体積あたりの代謝量が体内時計の速度に概ね比例していると考えられてます。
ゾウは心臓が大きいのでゆっくり動きますが、ネズミは小さな心臓が速く動きます。
そして驚くべきことに一生の間に心臓が動く回数はどちらも20億回なのです!
ゾウとネズミの寿命は大きく違いますが、体感時間は同じくらいであろうと考えられてます。

代謝量という視点で見ると、ゾウもネズミも恒温動物なので体温を一定に保たなければなりません。
体内で生成された熱は表面まで伝わって逃げていきますので、逃げるのと同じだけの熱エネルギーを生み出す必要があるわけです。

体温の一部は尿などの排泄物でも持ち出されますが、割合は多くないので無視します。
あくまで体温が全て表面から逃げていく前提で考えます。

長さが2倍になると表面積は4倍になり、個体として見ると4倍のペースで熱が逃げることになります。
ところが体積は8倍になるため、体積あたりの熱エネルギーの生産量は半分で済むのです。
このことは体積あたりで見るとネズミはゾウよりもずっと多くのエネルギーを消費してるという話になります。

体積あたりエネルギー消費量が多ければ活性酸素もたくさん発生するため老化が早まります。
これで寿命の違いを説明できると言われてましたが、現在では寿命はサイズによる生存戦略の違いから二次的に決まってると考えられてます。

・・・

それではサイズの生物学から子どもの熱中症リスクが大人に比べて高い理由を説明します。
体が小さいほど体積あたりの表面積が大きくて熱が逃げやすいということは、周囲の温度のほうが高い場合は熱を吸収して速く暖まってしまうということでもあります。
人間は気温20度ぐらいであれば生命活動の結果出てきた熱をベースに、足りない分を余分な代謝で補うことで体温を保ってます。
気温が高くなれば余分な代謝を縮小することで体温が上がりすぎないようにします。

ところが30度を超えてくると余分な代謝を縮小する余裕がなくなってきます。
このままでは絶対に必要な生命活動を縮小しなければならず、これは栄養を利用したり毒を処理するということがうまくできなくなることを意味します。
それを避けるために汗を出すことで気化熱で体温を下げて対応します。

しかし体が小さければ体積の割に冷やさなければならない表面積が大きいため、体積あたりでは速く水分を失うことになります。
これは脱水症状のリスクが高いことをも意味します。
冷やさなければ毒を処理できず、しかし冷やすと水分が足りなくなってしまうという板挟みです。
この状況に陥った場合は早期に対処しなければすぐに致命的な結果となります。

表面積は長さの2乗に比例し、体積は長さの3乗に比例する。

学校の関係者はこの事実をよく覚えておいてください。

・・・

サイズの生物学は熱中症だけでなく様々な病気に対しても適用することができます。
子どもが風邪を引いた場合のダメージは大人よりもずっと大きいですからただの風邪でもなるべく移されないように避けるべきです。
恐ろしいことに風邪を引いた回数が多いと余計なエネルギーが使われてしまうため、それが成長の妨げとなって成人後の身長にも影響するという説があります。
大人になって体が小さければ熱中症や感染症に弱いというハンデが一生続いたり老化が速まることを意味しますのでこのリスクを過小評価してはいけません。

しかし体が小さいことは悪いことばかりではなく、子どもの頃のように長い1年を過ごしてより多くの経験に満ちた有意義な人生を送れるということでもあります。
人類の祖先にもなった小型の哺乳類が恐竜を滅ぼした小惑星による大絶滅を生き延びたように、小さい体はリスクが高い分だけ適応能力にも長けています。

親心としては大きく育つに越したことはありませんが、小さくなってしまった場合でもその小ささを取り柄にするかどうかは育て方次第、そして本人次第です。

男女の性格や考え方の違いもサイズの生物学が大いに関係してるでしょう。
考えてみれば大きな女性は男性的な性格をしてる場合が多く、小さな男性は女性的な性格をしてる場合が多いように思います。

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