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DNAに残る人類とウイルスの攻防戦

2021.02.23 Tuesday

2021/08/16更新
感染者の多くが国籍不詳扱いとなっているのは都道府県知事への発生届の様式に国籍を書く欄がなく、国籍不詳=外国人と結論付けすることはできないという指摘がありました。
そのため国内のコロナ感染者の多くが外国人であるという文面を削除しました。


先月あるところに旅行したので旅行の記事を書きかけてましたが、人類とウイルスの攻防戦の歴史について興味深い話が出てきましたので今回はそれについて書くことにします。
旅行ネタは次回の楽しみにしててください。

・・・

人類とコロナウイルスの戦いはいつ頃から続いてきたのでしょうか。
この問に対して、OIST・沖縄科学技術大学院大学のスバンテ・ペーボ教授の研究グループから興味深い研究結果が発表されました。

ネアンデルタール人由来 遺伝子が“重症化予防”|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

この記事ではコロナの重症化を予防する遺伝子、そして重症化の原因となる遺伝子がネアンデルタール人から受け継がれたと述べられています。
また、重症化遺伝子は重症化を予防する遺伝子の5倍も影響が強く、両方の遺伝子を持ってると重症化のほうが勝ってしまうことがわかっています。

さらに両遺伝子とも世界中に均一に分布せず、重症化を予防する遺伝子はアフリカ以外に広範囲に分布し、重症化遺伝子はヨーロッパで最大16%、南アジアではなんと60%もの人が持っているのです。
ほとんどの日本人や中国人は重症化を予防する遺伝子のみを持っています。

・・・

COVID-19は「ただの風邪」なのか
では一体なぜ日本人はCOVID-19に強いのか。これはCOVID-19のスパイ遺伝子を持ってる割合が低いからではないかと考えられます。
スパイ遺伝子とはウイルスに協力して中から破壊活動を行う遺伝子のことで、例えばヘルペスウイルスの一種であるHHV-6のスパイ遺伝子であるSITH-1は誰でも生まれつき持ってます。この遺伝子は我々の祖先が、ヘルペスウイルスの祖先によって仕組まれたものであると考えられます。

同じようにCOVID-19もウイルス自体は小さくて弱いので、祖先が人類に潜り込ませたスパイを使うことで攻撃するのです。
ところがスパイ遺伝子が人類全体に広がらなかったり、長い年月を経てスパイが排除されたりして人種や民族ごとにスパイの保有率にムラがあります。
スパイ遺伝子を持ってない人にCOVID-19が感染してもサイトカインストームが起こらず、したがって無症状となります。


答え合わせになりましたね。
ここで言う「スパイ遺伝子」がまさに重症化遺伝子のことであり、このような生存に不利な遺伝子をなぜ保有しているのかと言うとウイルスによって仕組まれたからです。

ただしこの重症化遺伝子がコロナの祖先によって仕組まれたかと言うと疑問符が付きます。執筆時はその可能性を考えずに書きましたが、もしかすると別のウイルスが仕組んだスパイ遺伝子をコロナが利用するようになっただけかもしれません。
もしコロナの中から重症化遺伝子と類似の塩基配列が見つからなければ他のウイルスが仕組んだということでしょう。仮にそうだったとすればそのウイルスはスパイを無断利用されたコロナに負けて現在では生き残ってない可能性が高いです。

重症化遺伝子は変異によって排除されていきます。これが排除しきれずに残っているとすれば排除してもまた仕組まれた、あるいは長い間重症化遺伝子を呼び覚ますウイルスによる受難を受けなかったということではないでしょうか。
ペーポ教授らの発表では重症化遺伝子がコレラ等の他の病気に対してはプラスになったのではないかと述べられてますが、私はそうではないと考えてます。

・・・

重症化遺伝子、重症化を防ぐ遺伝子の存在は人類とウイルスの攻防戦の痕跡と言えます。
ウイルスが人類にスパイとして重症化遺伝子を仕組み、そして人類のほうは重症化を防ぐ遺伝子で対抗しようとします。
日本人においては全体の30%が重症化を防ぐ遺伝子を保有したまま重症化遺伝子だけが排除されました。
重症化遺伝子が排除されたということは重症化遺伝子が変異して失活した個体ばかりが生き残ったということですので、それは決して穏やかな過程ではなかったでしょう。

一方で南アジアや欧州では重症化遺伝子が排除されてもまた仕組まれた、あるいは長い間受難がなかったおかげで現在でもかなり残ってしまっていると考えられます。
スパイは命令があって初めて破壊活動を行います。命令を出すのはコロナ等のウイルスであり、ウイルスが命令を出さなければ重症化遺伝子があっても生存率には影響が出ないため結果として遺伝子プールから排除されずに残ってしまうのです。

・・・

最後に、なぜウイルスがネアンデルタール人あるいはその祖先に重症化遺伝子を仕組んだのか、その戦略について述べます。

ウイルスが宿主を積極的に攻撃するというのは実は対人に特化した戦略で、野生動物相手だとうまく行きません。
野生動物は基本的に病気になった仲間がいると見捨てるので、ウイルスにとっては感染機会を失うことになります。

しかし人間は病気になった仲間を助けようとしますので、攻撃して熱を出したり弱らせるほど感染機会に恵まれます。
つまり熱が出たからと言って慌てて病院に駆け込むという行動パターンはウイルスの思うつぼなのです。

このことはウイルスはなぜ宿主を攻撃するのかで詳しく述べています。

人間はもともとサルでしたので、遠い祖先は野生動物と同じで病気になった仲間を見捨てていたと考えられます。
その時代はウイルスにとって積極的に攻撃することはマイナスでしかないので、インフルエンザやコロナのような凶暴なウイルスはほぼ存在しなかったでしょう。
仮に何かの間違いで凶暴なウイルスが出てきたとしてもそれが人間の行動パターンにはまらなければ淘汰されます。

さて、ネアンデルタール人の生態は現在の人間にかなり近かったことがわかっています。

ネアンデルタール人の埋葬を改めて確認 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

ネアンデルタール人は死んだ仲間を埋葬してました。しかも埋葬された場所から花粉が見つかっていることから、その時に花を添えていたと考えられています。
また、その遺体は歯が失われていたり腰と背中に問題があったことから誰かの世話にならなければ生きられない状態であり、このことはネアンデルタール人には弱ったり病気になった仲間を助ける習性があったことを示唆しています。

この習性がウイルスの標的になったことは間違いないでしょう。
ネアンデルタール人が最初かどうかはわかりませんが、少なくともサルとネアンデルタール人の間のどこかの時点で人類に仲間を助ける習性が生まれ、そしてそこを弱点として狙うようにウイルスが進化してきたと考えられます。

やがてウイルスは簡単に攻撃を加えられるように重症化遺伝子を人類に組み込みました。
ウイルスはとても小さいのでウイルスだけで攻撃しようとすると先に免疫によって排除されてしまいやすいですが、人類のDNAにスパイを潜り込ませることでスパイに命令するだけで効率的に破壊活動を行うことが可能になります。

コロナの重症化遺伝子がネアンデルタール人から受け継がれたという事実は、ネアンデルタール人が現在の人間と同じ慈愛を持っていたことの裏付けでもあるのです。

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